病気と仕事の両立にむけて

健康な身体で働くことは当たり前のようでいてとても大切なことです。長く働いている間に病気やケガをすることは珍しくありませんし、治療を続けながら仕事をしている人もたくさんいます。しかし、治療と仕事の両立が難しいという状況に困っているケースも多いようです。

また、企業においても、病気やけがをした人をとどのように対応していけばよいか困っていることも少なくありません。社会保険労務士や両立支援コーディネーター(下記参照)は、このような企業に適切なアドバイスをしながら一緒に対応を図ることができます。

両立支援コーディネーターとは

両立支援コーディネーターは、医療機関、企業、公的相談機関等に所属し、医療や心理学、労働関係法令や労務管理等両立支援に関する基礎的な知識や考え方等の一定の研修を受講し、労働者(患者)や家族からの依頼を受けて患者(労働者)に寄り添いながら相談支援を実施し、また、労働者(患者)、主治医、企業・産業医のコミュニケーションのサポートを行う者とされています。
当事務所の社会保険労務士は両立支援コーディネーターの資格保有者ですので、安心してご相談いただけます。

▼会社の意識改革と受入れ体制の整備
両立支援を行うには、会社の理解と協力が不可欠です。そこで会社のトップや管理職の意識改革や社内制度の整備をお手伝いします。また、がん・難病・脳血管疾患・肝炎等の疾患別に、治療方法や症状の特徴など、両立支援にあたっての留意事項などを示した会社向けの疾患別サポートマニュアルを作成します。

▼主治医、会社・産業医と、両立支援コーディネーターのトライアングル型のサポート体制を構築
両立支援コーディネーターは、主治医と会社の連携の中核となり、患者に寄り添いながら継続的に相談支援を行いつつ、個々の患者ごとの治療・仕事の両立に向けたプランの作成支援などを担います。両立支援コーディネーターには、医療や心理学、労働関係法令や労務管理に関する知識を身に付け、患者、主治医、会社などのコミュニケーションのハブとして機能していきます。

働く人に健康に関する不安がなければ、高いモチベーションで仕事に取り組み、良いパフォーマンスが期待できるといえるでしょう。

企業におけるがん治療と仕事の両立支援

従業員ががんになっても、治療をしながら仕事を続けられるよう企業での取組みをサポートします。がん治療と仕事の両立支援をすることにより、その他の制約(他の疾患、介護・育児、シニアなど)を抱える従業員も働きやすい職場づくりを目指すことができます。

また、トラブルの防止や企業および従業員の安心のために、社会保険労務士の業務として就業規則等の制度づくりや、従業員ががんに罹患した際の対応支援や問題解決を行います。

企業内研修(がん啓発・教育)

企業経営者や人事担当者の方向けに、大切な人財を失わないための「がん患者の就労支援」や「従業員ががんを罹患したら」などについて、実例や実際の対応策を交えながらお伝えします。

また、従業員に対しては、がんという病気のことを知っていただくように研修を実施いたします。これによって多様な従業員が働きやすい職場づくりについて考える機会を創り出します。

助成金の活用

助成金とは、事業主が労働者の雇用の安定等のために社内規定を新設・整備するなど各助成金ごとに定められた所定の条件を満たした場合に、その事業主に対して、国(主として厚生労働省所轄)が支給する支援金です。助成金は金融機関等からの借り入れ(融資)と異なり、返済の義務はありません。

この助成金は現在、様々な主旨のもとに設けられていますが、「がん」に関連する助成金の中の一つに、労働者ががんに罹患し治療が必要となった場合などに当該労働者の雇用の継続を目的として、「治療と仕事の両立支援制度」を導入した事業主に対して支給される助成金もあります。

障害者雇用安定助成金(障害・治療と仕事の両立支援制度助成コース)

大きく分けて次の通り、2つの要件があります。

要 件 区 分 具 体 的 な 内 容 支 給 額
①環境整備助成 労働者の障害や傷病の特性に応じた治療と仕事を両立させるための柔軟な勤務制度や休暇制度(両立支援制度※1)を導入し、かつ、両立支援に関する専門人材を新たに配置した事業主に対する助成。 配置した専門人材に応じて、下記の
額が支給される。
(1)企業在籍型職場適応援助者を
配置した場合 30万円
(2)両立支援コーディネーターを
配置した場合 20万円
②制度活用助成 がん等の反復・継続して治療が必要となる傷病を抱える労働者のために、両立支援コーディネーターを活用して社内制度を運用し、就業上の措置を行った事業主に対する助
成。
対象労働者の雇用期間の定めの有無
に応じて、下記の額が支給される。
(1)対象労働者が有期契約の場合
20万円
(2)対象労働者の雇用期間に定め
のない場合 20万円

(参考)・障害者雇用安定助成金(障害や傷病治療と仕事の両立支援コース)
<外部リンク:厚生労働省ホームページ>(※平成30年4月改定)